毎月勤労統計調査の集計が面倒?GeminiにVBAを書かせて「一発集計」する効率化ハック
「毎月勤労統計調査の記入用紙が届くたび、ちょっとため息が出る……」
そんな中小企業のバックオフィス担当者の方、意外と多いのではないでしょうか。
クラウド給与ソフトを使っていればボタン一つで専用帳票が出力できますし、社労士さんに丸投げできる予算があれば悩むこともありません。
ですが、「給与計算自体は社労士に任せているけれど、周辺実務は自前でやっている(追加コストはかけられない)」という環境だと、毎月1回とはいえ地味に神経を使う面倒な業務になります。
- 社員ごとのデータをExcelで集計
- 男女別に振り分け
- 調査票のルール通りに端数処理
- 手書きの調査票に転記……
そこで今回は、給与データのExcelをサクッと加工し、生成AI(Gemini)にVBAコードを作らせて、調査票に書くべき数値を一発出力させる方法をご紹介します。
用意するもの
- 給与情報のExcelファイル(またはCSVデータ)
- 毎月勤労統計調査の用紙
基本的なアプローチは、「Geminiに要件を伝えて集計用のVBAコードを書いてもらい、Excelに貼り付けて実行する」だけです。
Geminiへ投げるプロンプト
実際に使用したプロンプトがこちらです。 (※「数字(数字)」の表記は調査票の記入欄番号に対応しています。自治体や業種等の様式に合わせて適宜調整してください)
自力でVBAを書く場合、セル番地(A列、B列など)を細かく意識する必要がありますが、AIに頼む場合は「列の名前」や「”支給”を含む列すべて」といった柔軟な条件指定ができるのが大きなメリットです。

以下の要件を満たすExcel VBAのコードを作成してください。
毎月勤労統計調査用のデータを「Sheet1」から読み込み、男女別に集計して新しいシート(または既存シートをクリアして)に出力するマクロです。
【前提条件】
・入力データは「Sheet1」にあり、1行目がヘッダー(列名)です。
・出力先は「集計結果」シートとし、男女別に横方向に集計結果を展開してください。
【集計項目と計算ルール】
以下の項目を男女別に集計します。
- 「5(4)」
・対象:人数のカウント - 「6」
・対象:”勤怠_出勤日数” 列の合計 - 「7(1)」
・対象:”勤怠_出勤時間” 列の合計
・端数処理:0.5以上は切り上げ、0.5未満は切り下げ(四捨五入) - 「7(2)」
・対象:”勤怠_普通残業時間”、”勤怠_深夜残業時間”、”勤怠_休出残業時間”、”勤怠_休日出勤(法定内)時間” の4列の合算値
・端数処理:0.5以上は切り上げ、0.5未満は切り下げ(四捨五入) - 「8(1)」
・対象:列名が “支給” で始まるすべての列の合算値
・単位変換と端数処理:合計値を1000で割り、小数点以下を「切り捨て」て表示(千円単位) - 「8(2)」
・対象:”支給_普通残業”、”支給_深夜残業”、”支給_休出残業”、”支給_休出残業(法定内)” の4列の合算値
・単位変換と端数処理:合計値を1000で割り、小数点以下を「切り捨て」て表示(千円単位)
【出力レイアウト】
「集計結果」シートの1行目に各項目の見出しを設定し、2行目に男性のデータ、3行目に女性のデータを出力してください。
あとは提示されたコードをExcelの標準モジュールに貼り付けて実行するだけで、一瞬で記入用の数値が揃います。

出力結果の確認と運用の注意点
マクロが吐き出した数値を調査票へ転記すれば完了ですが、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。
- 最初の1〜2回や給与改定時は検算を行う 全体の合計値と一致しているか、簡単な検算用SUM関数などで確認しておくと確実です。
- 手当の範囲を再確認する 特に「きまって支給する給与」に対象外の手当(賞与や非課税通勤手当など)が混ざっていないか、自社の支給項目一覧と調査要領を一度照合しておきましょう。
【重要】生データをAIに直接アップロードしてはいけない理由
生成AIを使っていると、「Excelファイルをそのまま添付して『これ集計して』と頼む方が早いのでは?」と思いがちです。しかし、給与データの直接アップロードは絶対に避けるべきだと、私は考えています。
- 個人情報保護の観点 多くの企業で社外サービスへの個人情報提供は厳しく制限されています。給与明細データは極めてセンシティブな個人情報の塊です。
- 「氏名を消せば安心」ではない(モザイク効果のリスク) 社員番号や氏名を削除したとしても安心はできません。「入社年度」「年齢」「役職」「基本給や残業時間」といった断片的な情報が揃うと、「この給与額と年齢なら、営業の〇〇さんだな」と個人が特定できてしまうことがあります(これをモザイク効果と呼びます)。
だからこそ、「実データは手元のExcelから外に出さず、集計のロジック(コード)だけをAIに作らせる」という今回のやり方が、セキュリティ・コンプライアンスの観点からも最も安全でスマートです。
手作業での電卓叩きや転記ミスから解放されるだけで、毎月のバックオフィス業務のストレスはグッと減ります。同じ境遇で悩んでいる担当者の方は、ぜひ試してみてください。
